青い帽子、青い服がぐり、赤い帽子、赤い服がぐら。40年近く愛されているだけでなく、世界各国で翻訳され、国を超えたファンを持つ2匹ののねずみ。全5冊、みんな大好きだけれど、やっぱり最初に夢中になるのは、森で見つけた大きな卵で大きなカステラを焼いて動物たちにごちそうする『ぐりとぐら』。
けちじゃないよ ぐりとぐら ごちそうするから まっていて。
カステラが焼けるにおいがプーンと鼻をくすぐり、心もふんわり膨らむシーンに、どれだけの子が満腹感を味わってきたことだろう。そして、残った殻で車を作るラストの楽しさも。
「夏の暑さも冬の寒さも、子どもに必要。それを乗り切る遊びが生まれ、遊びながら育っていく」
作者の中川李枝子が別の著作の中でそう書いているが、ぐりとぐらのシリーズがベストセラーであり続ける理由のひとつはここにあるのかもしれない。
雪の上に大きな穴を見つけ、跡を追う『ぐりとぐらのおきゃくさま』、うみぼうずに会い、泳ぎを教わる『ぐりとぐらのかいすいよく』、春の野原で毛糸をくるくるころがし、くまさんの家にたどりつく『ぐりとぐらのえんそく』、うさぎのくるりくらと雲に乗る『ぐりとぐらとくるりくら』。春夏秋冬、絵本の中で自然や動物と遊び、遊ぶほどにたくましく、賢くなっていく。そうした生き生きとした幸せな時間を、ぐりとぐらは、たっぷりとごちそうしてくれるのだ。